Tomato n'Pine
Tomato n'Pineとは?
Tomato n'Pine(トマトゥンパインと読みます)は日本のアイドルユニット。活動期間は2009年〜2012年。
2010年からはアイドル戦国時代と呼ばれているそうでして、
上の記事を見ても、あまりにもグループの数が多すぎてよくわかりませんが、ブームにもかかわらず、テレビの歌番組は減少し、CDも売れる世の中ではないので露出の機会もなく、必然的にマニアックの世界になってしまいました。ほとんどプログレかデス・メタルみたいなもんです。私も知っているのはAKB界隈とももクロちゃんぐらいなもんですが...
そういう時期に活動していたのが”Tomato n'Pine”でして、大きな結果を残すわけでもなく解散。その後の個々人の活動もアンダーグラウンドなものになっているようです。
それで詳しいことは私も良く分からず、メンバー個々にもほとんど興味がないのですが、わざわざ取り上げるのは1曲、印象的なのがあるわけです。
「ワナダンス!」という曲です。
どうすか!
オケだけ聴くとアリフ・マーディンかクインシー・ジョーンズって感じですが、その上にヘナヘナなヴォーカルが乗るという完璧な出来栄え。
これはプロダクションの勝利!と言いたいところですが、結果として数字が残せていないのが残念。
少し楽曲紹介をしようと思うのですが、その前に私が思うアイドルの定義を。
私が考えるアイドルの定義
未成熟
成長していく過程を見守るというのが正しい見方。最初から歌も踊りも完璧なんていうのは苦手としてまして、小泉今日子とかそういえばピンときてませんでした。現在の方が好きかも?
失敗する部分も含めて愛でましょう。
一生懸命
テクニックのない分、気持ちでカヴァー!とりあえず外しても大きな声で歌っている姿に萌えを感じるわけです。
初期の松田聖子なんか、こんな感じだった気がします。
楽曲と不釣り合い
アイドルの場合は「ほつれ感」が大事。楽曲がゴージャスなほど落差が生まれ、萌えの要素に繋がるわけです。
その意味で完璧だったのがコレ。
中森明菜のデビュー曲で、作曲が来生たかお、編曲が船山基紀という豪華版。
でも多分ご本人にキーが合ってないんでしょうね。精一杯な感じがたまりません。
かわいい
当たり前ですね。
プロダクション
この曲を知ったのは、ライムスターのラジオで。
時折アイドル特集などをやっていたのですが、その中での一押しがコレでした。
ユニット全体のプロデュースをしていたのが、ジェーン・スー女史で、この人はライムスと同じ、早稲田大学の「ソウル・ミュージック研究会」出身。完全にヒップホップ側の人ですが、楽曲を作るにあたって、明確なビジョンがあったのでしょう。この曲では作詞も担当。
作曲は田中隼人というお方。
ナオト・インティライミなんかを手がけているようですが、主にダンス・ミュージックが得意なようです。
詞はクラブDJをテーマにしたものですが、楽曲アレンジの仕上がりとして想定しているのは多分、クインシー・ジョーンズが絡んでいた頃のルーファスとマイケル・ジャクソン。年代でいうと1978年から1979年の期間で、特にマイケルの「オフ・ザ・ウォール」
なのでは?
楽曲解説
イントロのドラムからモータウン・ピックアップのタイム感を意識したもの。最高!
続いて入ってくる拙いコール・アンド・レスポンスに絡むのがフェンダー・ローズとクラヴィネット。わかっていらっしゃる。
ドラムがリズムを刻むと同時に入ってくるストリングス・アレンジの元ネタは多分コレ。
ベースラインはマイケル・ジャクソンのこの曲に似た感じ..という発注があったはず。
全体の感じもマイケルの「Rock with you」みたいな感じで..
多分、完成形としてこの曲は頭にあったはず。
全体的に特筆すべきは、ドラムのタイム感で、当時のクインシー御用達のドラマー、ジョン・ロビンソンのタッチにそっくり。多分打ち込みでしょうけれど、良くシュミレートできています。
当然、メロディーもフックの効いた良いラインで、カラオケで流行っても良いぐらい。
ハモり入れないで、ユニゾンにしたのは正解ですね。一生懸命感が伝わります。
とにかく入るシンコペーションもナイス! 極端に洋楽テイストに流れず、歌謡曲として成立する役目を果たしてます。
78〜79年のブラック・ミュージック・シーン
1977年にサタデー・ナイト・フィーバーの公開があり、世界的にはディスコブーム。アーティスティックな人にはスティービー・ワンダーやマーヴィン・ゲイとかがおりましたが、この2人はモータウン所属にも関わらず、レコード会社の意向に逆らって、しかも売れていたという稀有なお二方。
そんなん中、モータウンの看板であるジャクソン・ファイヴのリード・ヴォーカルであったマイケル・ジャクソンがエピックに移籍し、ソロ・アルバムを作るにあたって制作を仕切ったのがクインシー・ジョーンズ。
プロデュース業はもちろんですが、ソロ作も多く、マイケルに呼ばれたのは前年にヒットした、この曲の存在が大きいと思われます。
同時期にルーファス&チャカ・カーンのプロデュースもしています。
というか、マイケルと兄弟作ですね。
アリフ・マーディンはクインシーの盟友ですが、ソングライターとしての才能はもちろんのこと、プロデュサーとしてはブルーアイドソウルの形成に大きな役割を果たしています。
代表的なのはこの辺。
この時期でのアリフの一番の成功作は冒頭の方に紹介した、チャカ・カーンのソロ作で、ルーファスとしての活動も含め、チャカの黄金期。
70年台後半は、このようにクインシーとアリフの元に実力派のミュージシャンが集まってシーンを形成していましたが、80年台に入ると、ポリフォニックシンセやシンセベースの導入、その後打ち込みが流行ったり、ロック・シーンに迎合する面が出てくるなど、徐々につまらなくなってきます。(個人的には)クインシーの常連にもTOTOのメンバーが入ってきてから、様相が変わってきます。
マイケル・ジャクソンの「スリラー」が82年。ここからがマイケルのスーパー・スターとしての本番ですが、前作でのソウルフルでありながらも、おしゃれな感覚は希薄。そりゃ白人も買うわな! という感じで、個人的には今でもあまり好きじゃなかったりします。(といっても、世界で一番売れたアルバムなので、自分のように嫌いというのは少数派!)
まとめ
まぁ、そういうわけで70年後半のソウルシーンが、いかに素晴らしかったかという、個人的な感想に終始してしまいましたが、ここをターゲットにした、この曲の製作陣は偉い!という話をしたかっただけです。
「ワナダンス!」は本当秀逸なトラックですが、チャカ・カーンが歌っていれば..とも思わずに入られません。が、多分迫力はあっても魅力は半減するでしょう。それほどトマパイのヘナヘナ感がマッチしています。
今回は「ワナダンス!」だけ紹介しましたが、他の曲も秀逸。ここの製作陣はすごい!(売れなかったけど...)
まるで、ブラザーズ・ジョンソン!!
ブログタイトルに反した記事だったので、最後に「プログレ」「アイドル」で検索したのがこちら。
良いんですけど、こういう完成度はアイドルには不要。
もうとちょっと下手な方が、個人的にはフィットするのですが...