老人とプログレ

介護施設での現場のお話。プログレ、ハードロック等の音楽話。・・その他、日々の雑記、ファイターズの話題等・・

初老の介護施設管理者。経過観察&ぼやき To be a ROCK! Not to ROLL!

サ高住とヘルパーステーション

はじめに

 

昨日のNHKニュースウォッチで特集されていた、サービス付き高齢者住宅の特集だったのですが、 結構ネットでも話題になるのかと思いきや、全く騒ぎになっていないので逆にびっくりしました。皆んな既に知っているからあまり騒ぎになっていないのか、それとも大騒ぎになってはまずいのか?

 

介護の受け皿が不足する中でサービス付き高齢者向け住宅が増えている。1人暮らしの高齢者などがバリアフリー設計の集合住宅に暮らしながら介護サービスを受けることができる。多くの場合は介護サービスの事業所が併設されている。今、サービス付き高齢者向け住宅で自治体からの介護報酬を水増し請求しているケースがあることがわかってきた。水増し請求に加担した事がある現役ヘルパーは、実際にはやっていない介護内容を記録に書くよう経営者に言われていると話した。

介護保険は要介護度に応じて保険から支払われる金額に上限があるが、ある男性ケアマネージャーはその限度額まで使う計画の作成を会社から強要されたと話す。男性は利用者の希望に合わせて週に3回入浴する計画を立てたが、経営者からさらに3回追加するよう言われ、変更せざるをえなかったという。これにより介護報酬は5万円増加した。介護報酬の大部分は税金・保険料だ。行政や専門家から、水増し請求は一部に限らないのではとの指摘がでている。サービス付き高齢者向け住宅の支給限度額に占める利用割合は在宅に比べて突出して高い調査結果がでている。厚生労働省社会保障審議会はサービス付き高齢者向け住宅で不適切な介護が行われている可能性があるとして議論を始めた。

引用元:ニュースウォッチ9 10月20日放送回 概要まとめより

https://tvtopic.goo.ne.jp/program/nhk/200/1106325/

 

要はヘルパーステーション併設のサ高住で、実際は実施されていないサービスを水増して請求しており、それに関しては計画を立てているケアマネージャーもグル。という内容だったのですが、自分の知っている範囲での情報でもほぼニュース通りの実態。

NHKで放送されたということは、厚労省も摘発に本気のように思えます。

www.joint-kaigo.com

住宅側も自助努力が必要という提案はしておりまして、「一部の事業者のせいで全体のイメージが悪くなっている」という主旨で発言はしていますが、私の感覚だとまともなのが一部で、のこり9割くらいは過剰介護。このニュースは業界内の人間だと白けちゃいました。

 

サービス付き高齢者向け住宅とは? 

www.minnanokaigo.com

前提として「サービス付き高齢者住宅」とは何かというと、

  • 「特養」の待機場所として行政が主導して施策を行った「高齢者」用の住宅。主な管轄は国土交通省
  • 入居条件は60歳以上。(例外として40歳以上で要介護認定を受けている者など)
  • バリアフリーや洗面設備など設置基準が決められている。
  • 人員配置基準は、医療や介護の専門家が最低1名以上(日中に限り)。夜間に関しては人員の常駐は義務付けられていないが、緊急時対応できるよう速やかに駆けつけることができる体制が義務付けられている(警備会社などの委託も可能)。
  • 外出に関しては、内部に届出をすることなく自由度が高い。

 などで、基本的に高齢者向けの住宅で、日中には介護や医療の専門家が居るという規定が最低限の基準なのですが、そこは「サービス付き」といううたい文句なので、食事の提供などがオプションであったりします。

介護保険サービスを使う場合は外部のサービスを使うのが建前になっています。

 

問題点

配置基準はあるのですが、最低限の配置では入居者や家族のニーズに対応できるわけはなく、人員は必要。しかし家賃収入だけでは多量の人員を養うのは難しく、しかも需要と供給のバランスが悪いため家賃は高額には設定できない状態。

そこを補うために社内にヘルパーステーションを設置して、ニーズ対応やら介護保険サービスを行うわけです。しかし、そこはビジネスなので、そこそこの収支バランスを保っていれば良いという判断にはならず、「もっと利益を!」という話になるわけです。

サービスに応じて必要な人員配置や経費を設定するよりは、まずは売上を立てないと!

「適切な介護保険の運用」? 知ったことかと。

 

そこに自社運営でケアマネを抱えている所などは尚更で、最初に売上目標を設定した上でケアプランを立案していくわけです。

 

というわけで、住宅運営・ヘルパーステーション・居宅介護支援事業所の3つの運営でビジネス・モデルが出来上がっているので、これはもうやむを得ない。これに、自社でやっている訪問看護や訪問診療まで絡んでいたらもう完璧! この先、売上を上げるためには、もっと介護漬けにして介護度を上げて単価を高くするくらい。

 

これは入居者の方も同様で、楽して暮らせるのなら、もっとサービス増やしてくれ!というのが大方の意見。特に生活保護などで、利用者負担額がゼロの人は介護保険の単位を全て使うのがデフォルトになっています。

 

解決への提言

事業体であるからにはビジネスとして立脚させるのは当たり前で、売上あっての事業所なのでやむを得ない気がします。人間だもの。

最初に紹介したニュースのように架空の仕事を請求してしまうのは流石に違法行為でしょうけれど。

 

となると、システムで抑止するしか方法がないわけでして、足りない頭で考えついた対策としては...

 

  • 自社でのヘルパーを利用する際は、丸めでの定額制を導入。(回数上限なし)

 

くらいで、結構解決してしまうのではという気がします。

そもそも論として、部屋の掃除くらいでヘルパー必要か?とか、車椅子とか歩行器の人がサ高住にいていいのかとか議論すべき問題がありまして、入居条件に関しては細部まで厳格化した方が良いと思っています。空室が多いので、介護度重たい人でも平気で入居させてしまう風潮もあるので...

 

 

最後に

サ高住が乱立しすぎて、逆に特養が空室になっている状態です。

入所施設の形態もいろいろ有りすぎて、ソラで説明できる人も少ないと思われますが、一番規定が曖昧なのがサ高住。設備基準だけは厳しいのですが、あとは配置基準も行うサービスも事業者の裁量なのでグレーにしかならないわけです。しかも建てた後は税制優遇があったりするので止めるわけにはいかないと。

 

行政としても、今のサ高住の問題は想定していなかったと思われるのですが、もう出来てしまったものはしょうがない。システムを見直して違反できないようにするしか方策ないと思います。

 

逆に監査を厳しくして、違反事例を摘発!なんてやっているのはイタチごっこ。個人的な憶測ですが、住宅インのヘルパーの違反事例なんて主婦の万引きより件数多いような気がします。言い過ぎか?

 

 

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