老人とプログレ

介護施設での現場のお話。プログレ、ハードロック等の音楽話。・・その他、日々の雑記、ファイターズの話題等・・

初老の介護施設管理者。経過観察&ぼやき To be a ROCK! Not to ROLL!

ポセイドンのめざめ

クリムゾンとの出会いに関しては以前、このブログで語らせていただいたのですが、

zappazepp.hatenablog.com

 中学1年生当時、宮殿を聴かせてくれた友人のサカキバラくん。相当宮殿に感化されたようで、その後、2ndも購入。で、鑑賞会を行ったのですが・・・・

 

 

セカンド・アルバム 製作時の経緯】

1stの発表から約半年でのリリース。メンバーの相次ぐ脱退(フリップとシンフィールド以外全員)もあり、要は演奏者はフリップ以外は全取っ替えなのですが、契約の縛りもあったのでしょう。新メンバーのオーディションと並行して、録音を開始。しかし、折角契約した新メンバーも、契約問題で全員は投入できず、旧メンバーにヘルプをお願いをしながら制作。結果的にリーダーとなってしまったフリップにとっては、高評価だった1stの比較や、演奏面の主役だったイアン・マクドナルドへの対抗意識もあり、プレッシャーのかかる仕事だったに違いありません。

 というわけで、このアルバムのテーマは、新しい音楽の創造というよりは、フリップの仕切りでの1stアルバム越え。多分、マクドナルドがいなくても出来るよ!というところでしょうか。新日本プロレス旗揚げ時の様相に似ています。フリップが猪木でマクドナルドが馬場。助っ人に参上したジャイルズは豊登。プロレス知らない人には何のこっちゃでしょうが・・ついでにキース・ティペットがカール・ゴッチ

 

 マクドナルド&ジャイルズから脱退の意思を告げられた時、フリップ先生は「自分が辞めるからクリムゾンに残ってくれ」と懇願したそうですが、「リーダーはお前だ!」と言われ却下。当時からカリスマ性はあったんですね。まだ人望はなかったと・・その部分でも猪木に似てます。

【メンバー】

ロバート・フリップ      ギター メロトロン

ピート・シンフィールド    作詞・イルミネーション

メル・コリンズ        管楽器

ゴードン・ハスケル      ヴォーカル

〜ゲスト〜

マイケル・ジャイルズ     ドラムス

ピーター・ジャイルズ     ベース

グレッグ・レイク       ヴォーカル

キース・ティペット      ピアノ

 

 一応正式メンバーのゴードン・ハスケルは1曲のみの参加。メイン・ヴォーカルは、ほぼグレッグ・レイクが担当。ドラムも1stと同じマイケル・ジャイルズなので、1stからの連続性が感じられる布陣。これならベースもレイクが担当して欲しかったところですが、ツアーを前提にしていたようで、譜面が読めないレイクは楽器演奏での参加はなし。(後年、キース・エマーソンが譜面の読めないレイクに曲を教えるのは大変。とこぼしておりました。)ピーター・ジャイルズのステディなベースも良いのですが、ここはレイクのベースの音色が欲しいとこでした。

 1stとの最大の違いは、キース・ティペットの参加。フリージャズ丸出しのピアノの導入(Cat Food)はこのアルバム最大のトピックで、デビッド・ボウイーの「アラジン・セイン」とか、これの影響かと思うのですが。フリップもティペットを大いに気に入ったらしく、正式に参加要請しましたが、断られたそうで・・

【曲紹介】

冒頭と中間、最後に【Peace 平和】というライトモチーフを配置。トータル性を意識しておりますが、実質の1曲目がこちら。

M2- 冷たい街の情景(インクルーディング:トレッドミル42番街)

   (Pictures Of A City including 42nd At Treadmill)

Pictures of a City

Pictures of a City

 デビュー前からやっていたナンバーで、後に発売されたオリジナル・メンバーのアンソロジー「エプタフ」にもライヴ・テイクを収録。直近の編成でも披露しております。ヘヴィーな冒頭部から高速インストへなだれ込む、格好いいナンバーですが、いかんせん「・・精神異常者」に雰囲気がそっくり。この曲を冒頭に配置したことがアルバム全体の評価にも微妙な影響を与えているかも。速いパッセージのインスト部は充分凄い演奏なんですけど、4拍子展開のため、若干緊張感に欠けるきらい。メル・コリンズは良い仕事っぷり。

M3- ケイデンスとカスケイド

    (Cadence And Cascade)

Cadence and Cascade

Cadence and Cascade

 

  1stでいうと「風に語りて」と対比されるナンバー。清涼剤です。ここで初登場のゴードン・ハスケルのヴォーカルですが、このナンバーにはぴったりハマっていると思うのですが、後のベスト盤ではエイドリアン・ブリューのヴォーカルと差し替えというひどい仕打ちに。 ともかく、これは名曲というか、ハッピーソング。このアルバムで一番好きな曲かも。

ただし、元のモチーフは多分、イアン・マクドナルド作曲。M&Gの方に別ヴァージョンが。

www.youtube.com

M-4  ポセイドンのめざめ(インクルーディング:リブラのテーマ) 

In the Wake of Poseidon

In the Wake of Poseidon

 

 もろに打倒「エピタフ」良い曲なんですけど、露骨ですかね。メロトロンの使い方とか、本当にカッコイイんですけど。突っ込めばキリがないんですけど、エピタフ知らなければ、もっと素直に感動できそうな荘厳なナンバー。グレッグ・レイク名唱です。ドラムはちょっとやり過ぎかな。まるでジンジャー・ベイカー。歌詞も大げさ過ぎ。

 その後ライブでの再演もないところをみると、フリップもやり過ぎたと反省か?今やったら皆んな喜ぶと思うけど。 

 

 M-6 キャット・フード

   (Cat Food)

Cat Food

Cat Food

  他のテイクは、デビュー前から演奏していたり、1stを意識した曲だったりしますが、これはキース・ティペット参加の効果が最大限発揮された新機軸。狂ったビートルズ!!

 当時の評価は「ジョン・レノンの出来損ない」みたいな意見もあったようですが、賛否両論だったことでしょう。外しの美学と言いますか、この曲を挟むあたりがイギリス人らしいですね。まさかシングルヒット狙いじゃないと思いますが、この曲でテレビ出演もあり。

www.dailymotion.com

M-7  デヴィルズ・トライアングル

(The Devil's Triangle)

(a) Merday Morn
(b) Hand Of Sceiron
(c) Garden Of Worm 
The Devil's Triangle

The Devil's Triangle

 

ホルストの「惑星」より「火星」のパートですが、原曲通りのメロディーを使用することは許可がおりず。やむなく「なんちゃって」という感じのメロが付いてます。火星はデビュー前から演奏してまして、前述したアンソロジーの「エピタフ」でも凄まじい演奏が聴けます。まさしく狂ったオーケストラ!それと比較するとスタジオテイクはイマサンぐらいの出来。最後のミュージック・コンクレートの部分で「クリムゾン・キングの宮殿」が流れます。

 

 ライトモチーフの「PEACE」ですが、いい曲ですが、これ以上は膨らませるのは難しかったんでしょう。アコースティックギターソロでのテイクは名演。

 

Peace - A Theme

Peace - A Theme

【評価】

どうしても「宮殿」と比較されてしまいますが、単体では曲のレベルも高いし、個人的には愛聴盤。「リザード」よりは、聴く機会も多いのですが・・・

世間の評価もイマイチだったようですが、イニシャルではこれが一番売れたそう。それだけ「宮殿」からの期待値が高かったのでしょう。今聞くと、過渡期だったんだろうし、キース・ティペットを触媒とした新機軸もありで、意欲作といったところでしょうか。単体では聴く曲も多いのですが、これをクリムゾンのベストにあげる人は少ないでしょう。

 

 冒頭で紹介したサカキバラ君も、当初は発売から順番に買っていこうと思っていたところ、ここで腰砕け。次は手っ取り早く「ベスト盤」に手を伸ばしてしまいます・・

という話は次回。 

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ポセイドンのめざめ~40周年記念エディション(紙ジャケット仕様)

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