老人とプログレ

介護施設での現場のお話。プログレ、ハードロック等の音楽話。・・その他、日々の雑記、ファイターズの話題等・・

初老の介護施設管理者。経過観察&ぼやき To be a ROCK! Not to ROLL!

老健での事故

岐阜県の「介護老人保健施設」の事件 

headlines.yahoo.co.jp

 結構大きく報道されていて、ワイドショーのネタにもなりそうな様子。

「それいゆ」という施設の名称も公表されておりますが、まさしく「太陽と戦慄」

part2に続かないよう、真相の解明が急がれるところです。 

 理事長の会見では、概ね偶然続いた事故の連鎖では?といった説明ですが、内部で犯行を行っていた・・という可能性も否定はしていませんでした。

 ヤフコメやテレビでの報道も、「内部に犯人」説が多数を占めているようですが、調査結果を待つしかないと思います。しかし、これだけ全国区のニュースになってしまうと、今後、内部から労働環境とか経営状態とか、様々な情報が錯綜するに違いありません。多分「文春砲」も。

 

そもそも「老健」とは・・

 ご高齢者用の入居施設や住宅なんかは、いろいろな呼び方・種類があって、私のように福祉の業界にいる人間でも、区分や細かい規定は非常にわかりづらいものなのですが、介護保険で利用できる施設系のサービスは「特別養護老人ホーム(以下、特養)」と、「老人保健施設(以下、老健)」の2種類。 その他グループホームなんていうのもあるのですが、こちらは住民票ごと、グループホーム内に移してサービス提供を行うので、在宅サービスの扱い。他、デイサービスでも宿泊付きなんていうのがありまして、多種多様ですが、概ね安価な費用で入居できるのが、「特養」と「老健

 《特養》  

介護3以上の重度認定者が対象  一度入所が決まると、死ぬまで住むことができる。

費用は数万円〜十数万円

 老健

介護1以上の認定者が対象    リハによる回復の見込みがある方が対象

3ヶ月に1度、入所要件に合致しているかどうかの審査がある

費用は数万円〜十数万円

※ 医師の配置が義務付けられている

 

 といった違いがあります。人員配置はアバウトですが、どちらも入居者3名に対して、スタッフ1名程度。(看護師、介護士等)

 

 こう見ると、老健の方が、元気な方が多く、3ヶ月に一度の審査があるため、頻繁に回転しているように思えますが、実態は「特養」の待機場所として利用しているケースが少なくなく、3ヶ月ごとに老健から老健へ移動しているケースも。3ヶ月経っても同じ入居者の顔ぶれというのがデフォルトになっているようです。

 早期退所によるインセティヴなどの施策もあるのですが、老健側も常にフルハウスの状態が経営的には良いのでしょう。では「老健」必要か?という問題も発生しています。

 そのような「特養待機待ち」の状況を緩和するために、いわゆる「サ高住」なんていう、同じような料金で入居できる高齢者用住宅を、助成金をじゃぶじゃぶ使ってたくさん建設してますが、明確な運営基準も無く、決してサービスは均一ではない状況。悪徳業者の話も多く聞きます。当然、信頼できる住宅運営しているところも多いのですが・・

 

 そのような施策もあって、特養自体は空室も増えてきているようですが、今度は「要介護3以上しか入居できない」という縛りが問題。特養の空室は増えているのに、老健はずっと満床状態。

事件発生の要因

今回の事件が、内部の犯行だと仮定すると、原因として推測されているのが

① 給料の安さへの不満

② 夜勤の体制などのシステム的な問題

③ 対、入居者への個人的な怨恨

などですが、これはもう複合的な問題。給料が安いのは行政の介護保険の考え方やシステム。また、経営者サイドの問題もあるし、また、労働環境が劣悪なのも同様。

 個人的な怨恨の場合は、もう、その個人の資質の問題でありますが、そのような人間を雇用しなければ人員が確保できないのが現状。本来、満遍なくOJTなどの研修でフォローしていくべきなのでしょうが、教育担当専従の職員など、現状では無理でしょう。

 津久井での悲惨な事故は、まだ記憶に新しいところですが、意見ばかり上がって、状況の改善には繋がっていないのではと・・今後も、この手の事件は、きっと後を絶たないでしょう。

 

個人的な見解 

 で、解決策はというと・・あくまで個人レベルの見解ですが、

① 入所施設のあり方の再構築

   特養の入所要件緩和と、リハビリを要件とした老健の運営基準見直し。

   人員基準見直し。

 夜勤の人数が手薄で・・なんていうのは、そもそも常勤換算方で、必要人員を算出しているのが問題。資格の有無に関わらず、虐待行為に走らないよう、相互監視できる人員体制が必要。

 あと、看護師や施設ケアマネって必要なんでしょうか?外部連携とかで十分な気がしますが。その分、一般介護士で増員した方が良いと思っています。

② 病院でのリハ延長

 リハビリに関しては、医療保険の方で期間が決められているのが問題。医者の指示がなければ動けないので、介護の現場に任せるのが、そもそもおかしいと思うのですが・・ 入院の期間設定はしようがないと思うのですが、リハビリに関しては通院してでも病院が対処した方が良策と思います。 で、老健は特養に転換。介護1からの受け入れも可能にする・・というか、介護度の判定方も甚だ疑問ですが。

③ 介護保険・健康保険の改定に向けた取り組み

 まずは、介護士に労働な対価に見合った給与が支払えるよう、制度の改定が必要ですが、医療面と一体で考えなければならない問題です。といっても次の制度改定に向けての草案作りが着々と進んでいるようですが・・・どちらかというと、医療の方に問題があるように思えますが(処方箋、薬価の問題等々)。後は生活保護対象者に医療費補助の使用限度を決めるとか・・でしょうか。(痛み止めとか、湿布とか出し過ぎ! 全国レベルだと、幾らムダ金を使っていることやら。)でも、これは人権派とか反対しそうですね。荻上チキとか。面倒だから、介護士全員、公務員にしちゃえ!と誰かが仰っていました。

 

 なんてたわいのない案しか出ませんが、追い詰められた弱者が、更に弱い者に牙を向ける・・などという、酷い事件は二度と起きて欲しくないものです。

 暴力衝動が起きたらゲームで解消! 新しいVRの「バイオハザード」物凄いらしいぞ! 給料安いからハード買えないけど・・・で、給料安いのは、そもそも介護保険のシステムが・・・・と問題はエンドレス。