老人とプログレ

介護施設での現場のお話。プログレ、ハードロック等の音楽話。・・その他、日々の雑記、ファイターズの話題等・・

初老の介護施設管理者。経過観察&ぼやき To be a ROCK! Not to ROLL!

ロケットマン

 

国連の非難決議を巡って、トランプ大統領金正恩が非難合戦を連日やってる最中ですが、トランプ大統領の国連演説で放った「ロケットマン!」という言葉にジョンウン君、えらくムカついたようです。

 

ネイティヴな発音で放たれる「Rocket Man !」という言葉の雰囲気は結構格好良かったりしたんで、別にいいんじゃね。と思いましたが、どんなもんでしょう。「刈り上げ君」とか、普通に「デブ」と呼ばれるよりはマシだと思うのですが。

 

それで「ロケットマン」で検索すると上位に出てくるのがなぜか”ふかわりょう

www.nikkansports.com

とんでもないところに軟着陸したようです。

 

個人的にはロケットマンといえば、この人、エルトン・ジョン

www.youtube.com

1972年の「ホンキー・シャトウ」からのシングル・カットで、宇宙飛行士の孤独を歌った感動の名曲!

ですが、昔から実は「早漏」のダブル・ミーニングでは?という噂がありまして、ジョンウン君はそのあたりに過剰反応したのかも。

 

プログレファンと的には、ケイト・ブッシュのカヴァーも存在。レゲエ調でで拍子抜けですが、多重コーラスをフューチャーしたアレンジはいつものケイト・ブッシュ。一聴に値します

 

www.youtube.com

 

スタートレックのカーク船長こと、ウィリアム・シャトナーが2011年に発表した、宇宙をテーマにしたオムニバス・アルバムがありまして、いつか言及しようと思ったのですが、参加ミュージシャンもクリムゾンからジョン・ウェットン。その他パープルからリッチーとイアン・ペイス、他ブライアン・メイなどのオールスター。

その中でも、ゴングのスティーヴ・ヒレッジが参加した「ロケット・マン」は秀逸。惜しむらくは、シャトナー先生はヴォーカルではなく、語りでの参加なので、ウェットンに歌って欲しいところでした。

www.youtube.com

 

最後にリアルなロケット・マン。

www.youtube.com

手塚治虫原作の特撮ですが、ロボットではなく、ロボット人間だそうです。全然どんな話だったか記憶も曖昧ですが、悪役の顔が銀紙で貼っただけのもので、チープすぎて逆に怖かったことと、ヒロインが色っぽかったことだけ覚えています。

 

ジョンウン君もムカついて言い返すのもわかりますが、そんだけトランプ大統領をギャフンと言わせたいのなら、いい奴紹介するぞ!豊田真由子という名前だ。トランプ大統領に禁断の一言を言ってくれるはず。なんならそのまま北朝鮮に差し上げます。

www.youtube.com

 

 

 

 追記

そういえば、エルトン・ジョンもリッチーもヅラでした。失敬。

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介護事業者の倒産件数、過去最多の勢い

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今年の4月から本格的に介護予防(要支援1、2の方達が対象)の事業が、市区町村の財源に移行され、収入も減額になりましたが、案の定介護事業から撤退したり事業縮小に向かう法人が多くなりました。

 

というわけで以下の記事の通りの状態に..

 

www.joint-kaigo.com

収入が減額になった上に、スタッフの人員確保も難しいため、事業廃止を決断するのは止むを得ないところだと思います。8月の数値でこの結果なので、今年は昨年の数値を上回るのは間違いないでしょう。

 

ただ、予測される事態ではあったのになんの施策も打ってないないのは、行政としてはもう少し介護業界は淘汰されるべきだと考えていると思われます。事業所の倒産は思うツボ。もう個人レベルでの小規模運営では難しい時代になっています。

 

来年の4月にはまた大規模な報酬改定がある予定。介護分野で一番の争点は、軽介護度の方への生活援助禁止の問題。ここが通れば来年度の倒産件数は今年の比ではないでしょう。もうヘルパーという存在自体が不要になる時代が来そうです。

 

「寄らば大樹の陰」という言葉がありますが、来年度の改定に向けて、企業の体質改善や業態の見直し、M&Aの加速が必要です。

来年は働く側も利用する側もこのピンチを乗り越えることができる事業者を選ぶことが大切ですね。

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Over The Mountain

 

 

敬老の日。ニュースを見ていると、各地のご高齢の方対象の行事の様子が流れる中、とあるデイケアのレクリエーションの様子が映し出されまして..

■インタビュアー

「おばあさん、今日は何を楽しみにデイケアに来ました??」

■おばあさん

Over The Mountain !!!!!!!!!!!!!!!!

レクの内容はこのようなもの。

www.youtube.com

 

注意力と肩から腕に関しての筋力、そして体幹の強化につながるような動きを必要とする、見事なレクだと思います。何よりも競争心を煽るのがいいですね。所詮人生は勝った負けたです。次は勝つために戦略を練ったり、自宅で練習してる方もいらっしゃるでしょう。

 

ちなみにこのレクを作った人はアメブロでブログやってます。興味のある方は上の動画のリンクからどうぞ。

 

 ということは実は二の次で、問題はおばあさんが「Over The Mountain !!!!!!!!!!!!!!!!」とシャウトしたこと。当然メタルもちょっとかじった世代だと、思い出すのはオジー・オズボーン

www.youtube.com

当時ブラック•サバスを解雇になったオジー・オズボーンがアメリカをマーケットにソロ活動を開始。悲劇の天才ギタリスト、ランディー・ローズを相棒にして放ったソロ2作目の衝撃のオープニング・ナンバー!

 

 この2作目のツアーの最中にランディー・ローズは飛行機事故で亡くなってしまい、残念ながらこの曲のビデオ・シューティングはないのですが、当時は歪みまくったギターの音色とフレーズのぶっ飛び具合は次の映像でも確認できます。

www.youtube.com

オジーとの対比で美形のギタリストっていうの良いですな。この構図は現在まで引き継がれております。ランディー・ローズの動きが少しぎくしゃくして見えるのは、実は小児麻痺で足に障害があるのが原因。コンプレックスを音楽で昇華している感じがあります。

 

今となっては、バッキングが雑とか言われていますが、当時は衝撃。ここまでぶっ飛んでるのは「イン・ロック」のリッチー・ブラックモア以来。衝撃の2枚のアルバムを残して亡くなってしまう悲劇性も涙を誘います。

 

Diary Of A Madman (Legacy Edition)

Diary Of A Madman (Legacy Edition)

 

 

 

この後、オジー・バンドの音作りは若干ライトな方向に舵を切りまして、自分もメタル全般聴かなくなるのですが、この2枚と次のライブ・アルバムは特別。テレビでおばあさんが「Over The Mountain !」とシャウトした直後に聴き直しちゃいました。やっぱ良いわ〜 ありがとう、おばあさん。私は涙した..と、伊藤政則なら書くところでしょう。

 

ところで、上のレクリエーションの動画についてるBGMもメタル風。というかメタル。間違いなくこのレクのネーミングはオジーからでしょう。

 なんなら「Run To The Hills」とか「Kill The King」とかも考案して欲しいところです。もしくは「原子心母」とか「恐怖の頭脳改革」とか。 

Brain Salad Surgery

Brain Salad Surgery

 

 

原子心母

原子心母

 

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出張のお供

 最近はあまりないのですが、交通機関を使っての出張時は常にI POD。のちにI Phoneに変わりますが、常に音楽かポッドキャストは欠かせません。札幌から東京までは飛行機で1時間半。自宅から空港までや、現地での移動を考慮すると、短くても4時間の拘束時間が考えられまして、普段滅多に聴かないよう音楽を浴びるように聴けるチャンスでございました。

 

 今となっては自宅でも集中して音楽に向かい合うことなど無くなってしまいましたが、それこそプログレ関係の大作なんかは尚更。で、ここぞとばかり聴いていたのがこんな一覧。 

 

 

 

  ロック史の中では名盤と呼ばれているますが、ファンが常に聴いているかというと、実は年1回、覚悟を決めて聴いているんじゃないか?という一団。

 

ジェネシスの「ブロードウェイ」は、バンドで一番の問題作ですが、これは流石にピーガブ脱退直前。まとまりを欠いているのはやむを得ませんが、アルバムの構成もちょっと変で、わかりやすく感動できないのがポイント。私が普段聴いているプログレ関係のプレイリストには「ブロードウェイ」と「イット」しか入れていません。

 

THE WHOの「トミー」は、史上初のロックオペラでロック史的にも最重要作ですが、それこそファンでこれが一番好き!という人は聞いたことがありません。ただし、いざ聴くと感動したりしてるんですが・・ちょっと敷居が高いですね。

 

フロイドの「ウマグマ」ライヴサイドに関してはしょっちゅう聴いているものの、スタジオサイド(というかソロ活動)は流石に冗長。義務で聴いてました。

 

ザッパのギターアルバム。オープニングの「Five-Five-Five」最高!!!というテンションがずっと続くので、とにかく疲れます。個人的にはジミヘンとザッパとコルトレーンは延々とソロ弾かれても飽きずに聴けるんですが・・・。このアルバムはザッパに対してのヴィニー・カリュータのドラムの絡みも聴きものですが、譜面でやってるという噂は本当?

 

 イエスの「海洋地形学・・」。発売当時も、2枚組で20分超の曲が4曲という構成は賛否両論だったそうですが、無理やり曲を伸ばしてる感じは否めません。そんなダメな部分も含めて好き。

 

 交通機関での移動中は、パソコンで仕事をしながら聴いていたことが多かったのですが、車での移動はそうはいきません。一時期、函館〜帯広間、計7時間を月2回、車で出張という時代があったのですが、運転時のBGMにはあまりリズミカルではない「プログレ」は向いていない!という事実に気づきました。

 

 よくアメリカでのドライヴ・ミュージックは「ZZ TOP」が一番人気!という説がありましたが、毎回7時間のドライヴは、やはりブルース・ベースでハードな音楽が一番フィットするかもしれません。耐久力があるというか、ハイテンションで運転できます。

 

 一番聴いたのは、レッド・ツェッペリン全曲をI PODでシャッフル再生。ZEPは活動期間10年の中でメンバーチェンジが無いので、どの順番で聴いても違和感なくて良いですね。長距離の運転ではボンゾのドラムは良いカンフル剤になってました。

 

 あと聴いたのも、ハイテンションなライヴ盤が中心。

 

 何種類もライヴが出ているストーンズですが、個人的にはコレ。やっぱミック・テイラー入ってないと! 1曲めの「Junpin'Jack Flash」で既に入りで失敗しているのもポイントですね。というかストーンズらしい。

 

Live Johnny Winter And

Live Johnny Winter And

 

ただでさえ暑苦しいことこの上ないジョニー・ウィンター!更にリック・デリンジャー。血が滾るぜ! 特筆すべきはドラムの人。キャプテン・ビヨンドのボビー・コールドウェルAORの人とは別人)。ブルースでこんなに手数多いのはこの人だけ。

 一応ザッパ門下。派手さはありませんが、リズムのりがZEPっぽくて好きです。というかZEPが真似してんのか。必殺のライヴ。

 

Back In Black

Back In Black

真っ当なチョイスというかベタですが、世界で2番目に売れているアルバム。バンドの絶頂期のドキュメント。気合が入ってます。

 

 

 

 

 マイルスには本当お世話になりました。必殺のライヴ盤3枚! 特にフィルモアの「イナモラータ」死臭漂うヘヴィー・ファンク!

 

 眠気覚ましにはコレ。気合入りまくり。リアルタイムでハマったバンドってこれと、ミッシェルが最後かも・・

 

MOBO

MOBO

 香津美の歴史の中でも、これだけは別格。ご本人はもちろん、マーカスとオマー・ハキム。スライ&ロビーも名演。COOL !!

 

Wired

Wired

 ドライヴに限らず、テンションを上げるにはコレ。ベックファンの中では「Blow by Blow」派と、「Wired」派で分かれるようですが、演奏のテンションは断然こっち。

「Led Boots」だけ1時間リピートでも大丈夫。

 

 こんな感じですが、ベタな「Highway Star」とか、ヘヴィーメタルは意外とドライヴに向かない気がしてました。激しいんだけど、ブルース・フィールが希薄なのが要因か?やはりブルースは悪魔の音楽。持続性、耐久性共に抜群。 しかし、私が若い時に衝突事故を起こした時にかかっていたのが、ジミヘンの「ブードゥー・チャイル」・・・それだけは未だに車中で聴かないようにしています。やはり悪魔の音楽か?

 

 長距離のドライバーさんの定番は、未だに八代亜紀が根強いそうで・・・まぁ、こんなものも試してみてはいかがでしょうか? レッドブルいらずですよ。

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アニマルズ (Animals Pink Floyd)

 

【フロイドとの出会いはゴミステーション】

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 ピンク・フロイドの中で、一番好きなのはコレ!と言うと、必ず失笑されるのですが、好きなんだからしょうがない。

 

 音楽に目覚めた頃に、リアル・タイムで出ていた新作。

これ、実は買ったんじゃなく、近所のゴミステーションで拾いました

 

 多分、1978年の夏、の日曜日。近所で行わていた小学校の運動会を見に行った友人達から、「ゴミステーションに捨ててあった引っ越し整理の荷物の中にレコードがあったぞ!」と報告を受け、いそいそと見に行くと、そこには吉田拓郎井上陽水とかに混ざって、QUEENやKISS,レインボーの2NDなどが・・で、友人達と山分けなのですが、私はローリング・ストーンズと、これ「アニマルズ」をゲット!

 

 当時聴いていたのはパープル関係が中心。クリムゾンを聴き始めてプログレにも目覚め始めた頃で、雑誌を読むと別格で「ピンク・フロイド」というのがいるぞ・・というのは情報で知っていました。「幻想的」とか「音と光の融合」など、想像もつかない謳い文句が並んでおり、日本で過去に行われたコンサートは伝説的であったと・・では、どんな音なのか・・

 

【バンド略歴】

 一応、バンド略歴を。

 

1967年デビュー

 当時のイギリスはビートルズは「サージェント・ペパーズ・・」、ジミヘン渡英でサイケデリック・ブームの真っ最中。実験的なサイケの音作りとポップ色もあり、一躍人気バンドに。デビュー時のメンバーは、

シド・バレット      (ギター ヴォーカル)

ロジャー・ウォーターズ  (ベース ヴォーカル)

リック・ライト      (キーボード)

ニック・メイスン     (ドラムス)

 

 しかし、ドラッグの影響で、リーダーのシド・バレットが役に立たなくなり、残りのメンバーは、非常にもリーダーを切る!という決断に出ます。ストーンズと同じですね。

 そして、シド・バレットからデイヴ・ギルモアにメンバー交代。ここからラインナップが固定。モンスター・バンドへと駆け登ります。

 

 2NDアルバムからは、徐々にサイケ色を排除。構成に力点に置いた曲作りをするようになり、ヨーロッパ各地では評価はうなぎ登り。1970年発表の「原子心母」はブラスセクションやチェロ、混声コーラスを導入し、「ロックとクラシックの融合」と高い評価を得ます。またキューブリックの「2001年宇宙の旅」の音楽を担当するというような話もあったとか・・

 続く71年発表の「おせっかい」で、4人の総力をあげたコラボは頂点に。特にアナログ片面1曲を占める「エコーズ」はフロイドを代表する名曲。筋金入りのフロイドファンはこれをベストに推す人多し。同時期に初来日。野外で開催された「箱根アフロディーテ」では朝靄のかかる中で「エコーズ」を演奏し、自然の力も借りて伝説と化します。

 73年発表の「狂気」はウォーターズ主導によるコンセプトアルバム。これがアメリカでも当たり、最終的にはヒット・チャートに10年以上居座る大ヒット。累計販売枚数2億3千万枚というモンスター・アルバムに・・・

 

 という大成功をしてしまった故に、活動を継続する必要もなくなり、「狂気」を主導したウォーターズと他メンバーとは齟齬ができてしまいます。

 

 次のアルバム「炎」までは2年のインターバル。前作から売上は落ちますが、これも英米で1位。若干内省的なトーンに変化し、革新的な音楽を求めるマスコミやファンからは不評だったようですが、そんな中発表した期待の新作(当時)が「アニマルズ」

 

【アルバム解説】

冒頭と最後に入っているアコースティック弾き語りの小品「翼を持った豚(Pigs on the wing)」に挟まる型で、ジョージ・オーウェルの「動物農場」を意識した、動物の名前を付けた3曲を配したコンセプト・アルバム。 コンセプトは当時中学生だった自分でも、「ちょっと陳腐化な?」と思わせるものでしたが、アルバム全体をこういう風に使っている作品は初めて触れたので、田舎者のインテリ・コンプレックスをくすぐるには十分な代物でありました。

 

2. ドッグ (Dogs)

 

Dogs

Dogs

 

「You gotta be crazy !」が原題。「狂気」で描いたテーマの続編とも取れますが、ここでのモチーフは、ホワイトカラーのエリート・ビジネスマン。

 アコギのストークから始まりますが、これがDm9。カーティス・メイフィールドとかニュー・ソウルの影響が若干あるのかも? アコギで曲を引っ張りますが、要所要所でギルモアのギターが雄叫びをあげます。コード単体ではオシャレですが、全体の雰囲気はやさぐれている感じがたまりません。正にハードロック!! 歌詞は辛辣。この主人公、どうせ最後は癌になって南部で死ぬそうです。コンクレート風のシークエンスを挟んでの、フロイドお得意のリフレインのパートでは滔々と「いかにお前の人生がダメなのか」説教されます。

 

3.ピッグス(3種類のタイプ)

 Pigs (Three Different Ones)

 

 ブルース風のハードロック。モチーフは資本家というか成金。歌詞も漫画的。

ただし、攻撃的な演奏は印象的で、途中に入るナチュラルなギター・カッティングや半端な変拍子処理も効果的。はっきり言って好きです。この曲。

 エンディングにかけてのギルモアのギターは最高! 個人的には「Comfortably Numb」のソロよりこっちかな・・

 

4.シープ (Sheep)

Sheep

Sheep

  二拍三連のりのハードロックナンバー!と3曲ともハードロックと紹介してますが、本当だからしょうがない。構成美が光るナンバー。

 フロイドは他のプログレ勢と比較すると、テクニックに欠けるという評価もありますが、簡単なモチーフを格好良く構成する術に長けており、この辺はリック・ライトの功績なのかと思いますが・・・こういう曲でのウォーターズのベースは格好いいですね。

 ここでも主役はデイヴ・ギルモア!

 

最後に冒頭と最後に配置された、「Pigs on the wing」ですが、アコギ1本でのラブソングと言いますか、軽い決意表明。なんとも力の入らない、いい湯加減のナンバーですが、終わった瞬間に「Dogs」がフェードインしてくる瞬間は何とも格好よし。効果的です。

 

 全体通してですが、印象に残るのはギルモアのギターと、リック・ライトの冷たい音色のソリーナとシンセ。友人はこのアルバムを評して。「ギターアルバムとしては最高!」と言い切っていました。そしてニック・メイスンの独特のタイム感のドラム(多分おかず入れるときは呼吸止めてる?)と、ウォーターズのソリッドなベース。

 どのピースが外れてもピンク・フロイドは成立し得ないのですが、そういう体制で作ったのは今作品が最後。実際に当時の人間関係は既に険悪だったそうで、イギリスはサッチャー出る前で大不況。セックス・ピストルズがデビュー前のパンク勃興前夜のロンドンはかなり不穏だったと思いますが、そんな雰囲気の中制作されたアニマルズは前後のアルバムと比較すると、あまりにも攻撃的!そして刹那的!  フロイドな特徴とも言える効果音の使用も減り、幻想的な部分のかけらもないのは、ずっと聴いてきたファンには違和感だったのでは? ただし、最初に聴いたのがコレ!という私のような者には、この路線でずっと続いていただければ・・・という衝撃の内容だったのですが、次回作はロジャー・ウォータズの独裁体制が頂点に達した「The Wall」 個人的には興味を失ってしまい、リアルタイムでのフロイドとのお付き合いはこれで終わり。リスナーとしては過去作へ向かいます。

 

【フロイドと最接近】

なんだかんだで、1stからアニマルズまでは全て愛聴盤。一旦解散して、ギルモア主導でフロイド復活。88年には来日公演も実現。

 という当時、私、札幌でやっていた「プロビデンス」というバンドに在籍しておりまして、初の東京でのワンマンが実現。同時期にフロイドは「日本武道館」、プロビデンスは「吉祥寺シルバーエレファント」で全く勝負にならないんですが、シルエレの方にも100人程度集まっていただきました。当時お越しいただきましたお客様、誠にありがとうございます。私だったら間違いなくフロイド選ぶけどなぁ〜

 

 そんなバンドが再発されるそうです。(私参加してませんけど・・)ついでに、名作、ミスター・シリウスの1stも無事再発。気になる方はどうぞこちらを・・・

tower.jp

 

 

 

Animals

Animals

 

 

 

 

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ヒノテル

 北朝鮮のミサイル騒動も若干落ち着き、民進党の総裁選挙はいくらマスコミが話題にしようが誰も興味がないというこの頃。なぜか日野皓正の名前が話題に。

moneytalk.tokyo

 話題にするほどの話かと思いますが、文春砲もレベル低くなったもんです。

で、噛みつく奴も・・

www.daily.co.jp

 こいつに話聞きに行くなよ! 文春砲もどうせならコイツ狙えよ。絶対裏あるから・・

 

 それで、あまりに話題になってしまったもので、ヒノテル本人が釈明で取材を受ける羽目に・・だったんですが、世界のヒノテルも既に齢74歳。いい感じの爺になっておりまして、会見は個人的には爆笑。「俺がビンタしたって、アントニオ猪木よりは力は弱い!」と力説しておられまして、なぜか猪木との比較。まぁ、猪木のビンタは皆、並んでもしてもらいたいものなのですが、これからヒノテルもファンにサインする代わりに往復ビンタで良いんじゃないかと・・・・・

 

 ジャズ・ミュージシャンの暴力話はチャーリー・ミンガスを筆頭に良くあったりしますが、今回のドラムの子供は、つい調子に乗った自分に対して後悔してるんじゃないか・・と思いますが、世間騒ぎ過ぎ。話大きくなりすぎました。

 別に体罰容認派ではありませんが、ドラムとかベースは曲の進行を遮る力が物理的にありまして、今回の件はしょうがないと、大体の音楽関係者は思っているんじゃないかと・・

というか、3分以上のロングのドラム・ソロは、ボンゾとイアン・ペイス以外は禁止で良いくらい。

 

 日野皓正先生は、私も2回ほど生で観ておりますが、一番格好いいのはコレ!


Masabumi Kikuchi-Circle/Line

 70年代中盤のマイルス・グループに所属していたプーさんが、そこでの活動は自身のソロにフィードバックした問題作。マイルスの「オン・ザ・コーナー」あたりのポリリズムの実験から妖しい部分を除去。(というかラリってない) 都会的な感じに再構成・・という感じのスタイリッシュな曲。ここでのマイルス役はヒノテル。未だに小節の頭はドコなのか良くわかっていません。この曲で「ポリリズム」という言葉を知りました。パフュームが出る30年前の話です。

 

 というわけでこの騒動、個人的には、一応ヒノテルも謝罪したので、早く収束してほしいと思っていますが、まだヒノテルにインタビューとかで突っ込むと、とんでもない発言しそうで、野次馬的には期待してます。

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太陽と戦慄(Larks' Tongues in Aspic)

 

 

 傑作です。

【制作の背景】

 

 1973年発表。前ラインナップのクリムゾンは72年の3月でスケジュール終了により解散。フリップ社長も疲れたのでしょう、言うこと聞かないメンバーを引き連れてのツアーで、心身ともに消耗。(暴走ぶりは「アースバウンド」に収録。全員ヤケクソ。)部下が自分と違う方向が向いているのはたとえ成功していても・・中小企業の社長は辛いもの。そして傷心の中、宗教にハマります。日本もイギリスも中小企業経営者は同じですね。しかし、ここはイギリス人。稲盛会長も斎藤一人もいないので、「ワリ・エムラーク」という白魔術の魔女と行動を共にします(色々調べましたが、正体不明の人。何者なんでしょう?)。

 ここでどのような示唆を受けたかわかりませんが、フリップ社長は新たな人事編成に向けて精力的に活動を開始。約3ヶ月で自分の意図を具現化できる優秀なスタッフを揃えます(仕事人から、やる気のある新人。鉄砲玉まで。)

 

【メンバー】

ロバート・フリップ   ギター、メロトロン

  今までも高速のクロスピッキングは披露していましたが、本格的にテクニシャン

 と認められたのはこのアルバムからでは? そしてリーダーとしてのカリスマ性も

 も本格的に確立。

ジョン・ウェットン   ベース、リードヴォーカル

  この前は「ファミリー」に在籍。好盤2枚を残し、クリムゾンに移籍。フリップ先

  生とは同郷。満を辞しての投入。西武の清原が念願叶って巨人にトレードといった

  ところでしょうか?清原は失敗しましたが、ウェットンは大正解。業界屈指のヴォ

  ーカリスト。そしてワイルドなベースプレイは魅力的。

デヴィッド・クロス   ヴァイオリン メロトロン

  繊細そうな当時は新人。でもデビューにあたって新調した衣装は派手。弾きまくるスタイルではない、

  この人をメンバーに入れたのは慧眼。いなかったら全員暴走して恐ろしいことになっていたのでは・・

ビル・ブラッフォード  ドラムス

  エスからの引き抜き。当時絶頂期だったイエスからの脱退は衝撃だったのでしょう。当時のプレスの

   記事は否定的な見解が見られます。しかし、金より新たな冒険を選びクリムゾンへ!理想に燃える若

   頭。独特のタイム感と頭脳的なアプローチはプログレドラムのフォーミュラー 

ジェイミー・ミューア  パーカッション、ドラムス

  フリージャズシーンからの参加。テクニシャンなのはもちろんですが、それ以上に挙動不審。ほとん

   ど、タイガー・ジェット・シン!当時のライヴのレビューを見ると「毛皮をまといながら、一瞬足り

   とも動きを止めず、鎖を振り回して、最後は血を吐く!」と、おおよそミュージシャンの解説とは思

   えませんが、残された映像を見ると、まさしくその通り!各自Youtubeを検索! この当時のクリム

   ゾンの推進力はこの人。

 

さて、メンバーも揃いリハーサル開始。「アースバウンド」のツアー中には「太陽と戦慄Part2」の断片はできていたという情報もあり、この時点でフリップ先生もやる方向は明確になっていたんでしょう。

 途中、フリップとEGレコードの同僚。ブライアン・イーノとのコラボを挟みます。(72年9月〜)ここでの活動もクリムゾン本体にフィード・バック。このレコーディングはクリムゾンのライブのSEとしても使用されています。

明けて73年〜録音開始。録音中にも単発的にライヴを行なっていましたが、ここでジェイミー・ミューアが脱退。結果、このラインナップでの録音は最後となってしまいました。

 

【1973年】 

「太陽と戦慄」の発表は73年の3月。

日本は田中角栄。アメリカはニクソン大統領が元首。ベトナム戦争終結

金大中事件で韓国は軍政の真っ最中。日本赤軍のハイジャックとオイルショックが本格化。オイルショックは音楽産業にも影響を与えていきます。

73年のアルバムといえば、

ピンク・フロイド       狂気

マイク・オールドフィールド  チューブラ・ベルズ 

レッド・ツェッペリン     聖なる館

エス            海洋地経学の物語

ブラック・サバス       血まみれの安息日

マハビシュヌ・オーケストラ  火の鳥

ハービー・ハンコック     ヘッド・ハンターズ

 

  そしてクィーン、キッス、エアロスミスがデビュー。素晴らしすぎますが、オイルショックでレコード業界も経営体質見直し。この年をピークにプログレは衰退。より売れるものを作ろうと産業化していきます。

 

ちなみに日本では、桜田淳子がデビュー。アイドル歌謡の時代がやってきます。で、私。桜田淳子、大ファンだったんですが、今となっては何で好きだったんだか理由もよくわかりませんが、超のつく美人に見えてました。

 そして沢田研二が「危険な二人」で歌謡大賞受賞。お茶の間で井上尭之バンドが見れるようになります。

 

 映画は

エクソシスト

燃えよドラゴン

ジャッカルの日

スティング

仁義なき戦い

 

巨人がV9  相撲は北の湖と輪島2強時代。日本プロレスが消滅し、新日本プロレス坂口征二が合流。猪木がタイガー・ジェット・シンと抗争開始。

 

素晴らしすぎます。1973年!

 

【タイトル】

意味ありげなタイトルはジェイミー・ミューア発案らいしいですが、どうやら中国の宮廷料理らしいと・・「ひばりの舌のゼリー寄せ」らしいですが、画像検索しても料理の実物は見当たりませんでした。それで何故この邦題かというと、ジャケからくるイメージだったらしいのですが、担当の人、ナイス邦題!「対自核」「淫力魔人」と並ぶ、3大邦題と個人的に思っています。

【曲目】

1 太陽と戦慄Part1

(Larks' Tongues in Aspic, Part One)

Larks' Tongues In Aspic, Pt. 1

Larks' Tongues In Aspic, Pt. 1

 

ガムランチック導入部から静かに始まり、ヴァイオリンのリフから7拍子の超絶ヘヴィーロックへ。そしてフリップ先生の高速クロスピッキングを合図に、7/8拍子のジャズロックパートへ! かっけぇ〜! 最高なシーンが一瞬でもあれば映画は名作と言われますが、それと同じ。ヘヴィーロックパートから7/8までのスリリングの展開はロック史に残る名演奏。一旦ブレイク後は、ジェイミー・ミューア大暴れの巻。このパートの完コピは無理でしょう。ミューア以上に解らないのがジョン・ウェットンのワウ・ファズかましたベースプレイ。混沌のうちに収束し、ヴァイオリンをフィューチャーした静的なパートへ。クロスのプレイはテクニック的にはちょっと・・という意見は良く耳にしますが、叙情感を漂わせながらも、クサくならないプレイがフリップ先生のお眼鏡にかなったのでは。そして、テーマリフをギターに置き換えて壮大なコーダへ。ウェットンのファズベースが大地を揺るがします。 

 

2 土曜日の本

(Book of Saturday) 

Book of Saturday

Book of Saturday

 うって変わって、フリップ、クロス、ウェットンによる、室内楽のような小品。ここでウェットンのヴォーカル、クリムゾン初お目見えです。良い声してますね〜生まれ変われるならウェットンの声で生まれ変わりたいです。

 ブラッフォードは「不参加」という名の参加。抑制が効いた名曲です。間奏のヴァイオリンソロはクロス一世一代の名演。泣かせます。

 このノーブルな雰囲気は、やはりヨーロッパ人という感じですね。日本人じゃ、こうはならない。ヴァイオリン入ってるアコースティックな曲といえば「神田川」か「精霊流し」ですもんね。

 

3 放浪者

(Exiles)

Exiles

Exiles

 エグザイルです。踊れませんが。

 このアルバムで唯一のメジャーキー。お子様に聞かせて良いのはこの曲だけ。

 シンプルなメロディーが心に沁みる雄大なナンバー。クロスのヴァイオリンソロも良いですが、ポイントはブラッフォードのドラム。言葉にしづらいですが、スネアの位置がストっと落ちるといいますか、情緒に流されず抑制が効いた好プレイ。 

 

4 イージーマネー

(Easy Money)

Easy Money

Easy Money

 刹那的な歌詞も印象に残る、ハードなナンバー。地味にファンクの影響も・・

インスト曲でも大暴れだった、ジェイミー・ミューアにスペースを与え、鐘や太鼓に笛、果ては雑巾から笑い袋まで、音が鳴るものなら何でも投入するエキセントリックなプレイを展開しています。本当はこの方向でのインプロ拡大をフリップ先生は考えていたのでしょうが、ミューアの脱退で夢と消えてしまいます。

 多分、このアルバムの中で、一番ライヴ向きで、ヘヴィーメタリックな感覚を与える曲。後のライヴ盤「USA」でも、客から1曲め終わったばかりなのに「EASY MONEY  !!」と催促されてます。

5 トーキング・ドラム

(The Talking Drum)

 

The Talking Drum

The Talking Drum

 前曲の笑い袋の音からクロスフェード。文字通りトーキングドラムの音から始まる、4拍子のインプロナンバー。静かな立ち上がりから先発はクロスのソロ。徐々に音量が上がりフリップの怒涛のソロに突入。フリップトーンはここに確立。

 そしてギアを最大にあげてエンディングに突入!音量はマックス。突如カットアウトしてヴァイオリンが悲鳴をあげながら次の曲へ・・

 

6 太陽と戦慄 PART2

Larks' Tongues In Aspic, Pt. 1

Larks' Tongues In Aspic, Pt. 1

 

フリップのソリッドでハードなリフでカットイン!格好良すぎ。

このラインナップで最初にリハーサルをした曲らしく、ここでは余裕のプレイ。

多分、意識してるのはバルトークストラヴィンスキーのロック的な展開。基本5/4のプレイですが、半端に拍が入るところはバルトークの黄金律とか関係しているのかも。

コードの上昇と下降を繰り返す展開部は高揚します。で、その後数多くのフォロワーにパクられる羽目に・・・というぐらい、この時期のクリムゾンを凝縮したようなナンバー。

 ちなみですが、当時のフールズ・メイトの編集長、北村氏の著作では、この曲のテーマは「性行為!」言い切ってました。そんな発言フリップしているんでしょうか?でもそんな気もします。

 ともあれ、このアルバム全て名曲揃いですが、これ1曲でも十分。重ねて言いますが「かっこよ過ぎ!」 意図的にギターソロを入れていないのもスタイリッシュ!

 

【評価】

 問題作というのは、リアルタイムでは評価されない傾向がありますが、これはリアルタイムでも評価が高かったようで、日本でも朝日新聞の文化欄で激賞だったそう。当時のロック、ポップシーンからは、あまりにもかけ離れている内容にも関わらず。

 これはフリップの戦略もあるのでしょうが、多分意図したのは「分かり易い前衛」。先ほどバルトークの名前を出しましたが、全体のイメージ作りには、きっとストラヴィンスキーの「春の祭典」があったに違いありません。 親し見易さのかけらもないショッキングな音なのに、感覚的に理解できてしまうというか、ドライでスタイリッシュな格好良さ!しかも知的で正体不明。よくぞ商業音楽のフォーマットの中でこれだけの物を作ったと思います。(しかも、そこそこ売れた!!)

 このアルバムがあったからこそ、他のプログレバンドとは志が違うと思われているのでしょう。特に日本では神格化。フリップは先生とか師匠とか尊師とか言われるようになります。

 

 とここまで褒めたアルバムの弱点といえば、ここでの収録曲。のちのライヴでどんどんとパワーアップした演奏が披露されたこと。「戦慄」のテイクは霞んでいく羽目に・・・

 

 ライヴを重ねるごとに、バンドはパワーアップ。通常のスタジオ作業では収まらなくなり、次回作はライヴ録音をベースにスタジオでのオーバーダブを重ねる荒技に出ます。そして、またまたとんでもない作品が・・・

 

 

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