リハビリ特化デイサービスとは?
はじめに
高齢者用のデイサービスも介護保険がスタートして、約20年。もう社会に根付いた存在だとは思うのですが、まず、そもそもデイサービスとは?
介護保険法第8条7項
この法律において「通所介護」とは、居宅要介護者について、老人福祉法第五条の二第三項の厚生労働省令で定める施設又は同法第二十条の二の二に規定する老人デイサービスセンターに通わせ、当該施設において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うこと(認知症対応型通所介護に該当するものを除く。)をいう。
という、介護保険上の定義がございまして、つまり高齢者の方をの日中の入浴等、自宅では出来ていない部分のお世話と機能訓練を、送り迎え付きで行い、一定時間施設でお預かりするシステム。
本来は、車椅子生活で入浴が困難な人などを想定したシステムで、家族の介護負担軽減も考慮して長時間施設で過ごすことを念頭にプログラムを組んでいるのですが、ある程度お元気な方は、身体上の介助は必要とせず、また長時間同じ場所で過ごすのは苦痛・・という意見もあり、隙間産業のように出来たのが「短時間デイサービス」。本来は1日7時間以上デイサービスで過ごすのですが、それを3時間程度で1日2回転するシステム。
市場的にもニーズがあり、この短時間システムはデイサービス全体の約2割程度を占めています。その中でも多くの短時間デイサービスで打ち出しているキャッチフレーズが「リハビリ特化型」。
軽負荷でのトレーニング・マシンを使用したり、転倒予防の運動などを行い、健康の維持・増進を目的としていますが、「リハビリ特化」と名乗るにあたって明確な基準は存在しません。
そんな現状に警鐘を鳴らしたのが次の記事。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の組合が、「通所リハビリテーション」とリハ特化型デイサービスの区別が不明瞭!と改善要請を行いました。
まず、主張はさておき、ここで「通所リハビリテーション(通称デイケア)」という言葉が出てきましたが・・
デイケアとデイサービスの違い
リハビリに関してはドクターの指示書に基づいて、資格を持ったスタッフが行う。ということと、隣接して病院があるところが多く、緊急事態に対応しやすい・・というデイサービスとの違いがあります。
ただ、個別のリハビリの時間ですが、以前は「個別リハ加算」というのはありまして、20分という時間的な制約がありました。現在は一応廃止されているのですが、デイケアの現場では暗黙の了解で一人20分という流れで動いている所が多いようです。
最大の違いは「医者の介入」の有る無しと理解していただければ。
リハ特化型デイサービスの内容
「リハ特化型」と名乗るには現状では明確なガイドラインが無い訳で、あくまでも自称なんですが、多くは独自プログラムを開発しての運動を行なっています。私も良く競合しているリハ特化デイのHPを見るのですが、どの施設もプログラムに関しては「良く出来てるなぁ・・」と感心するものが多いです。特にFCで運営している大手のデイサービスは、大学教授やスポーツ医学の専門家とプログラムを共同開発しているものが多く、科学的に効果が実証されているのものが少なくありません。一概に医療関係者や専門家が常駐していないのは・・と敬遠するのは如何なものかと・・・
また、施設によっては、理学療法士その他の専門家を配置している所も多いです。
特に柔道整復師を配置している施設が多く、その中でも治療院などの経験が豊富な柔道整復師がいる施設は人気があったりします。
どちらが良いのか・・
こればかりはご自身の目で確かめてもらうしかないのですが、ほとんどのデイサービスやデイケアでは、お試しのシステムがあり、実際にプログラムを体験してもらうことができます。理学療法士や柔道整復師がどれだけの知識やテクニックを持っているのか?また、ご自身の愁訴の改善に役に立つプログラムを提供してくれるのか?など、確かめることができます。
ちなみにデイケアの方が利用料金は割高です。
リハビリとは
散々リハビリという言葉を使ってきましたが、WHOの定義だと
リハビリテーションは、能力低下やその状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる。
リハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会的統合を促す全体として環境や社会に手を加えることも目的とする。そして、障害者自身・家族・そして彼らの住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関するサービスの計画と実行に関わり合わなければならない。
このように、かなり広い意味を含んでいます。
日本の病院でリハという言葉を使う場合は、主に身体機能の回復訓練のことを指しますが、ドクターを筆頭に、理学療法士、作業療法士などが共同で行うものを意味します。
今回の提言に関して
実際にデイケアとリハ特化デイサービスを混同している方は多いと思うのですが、今回の理学療法士協会の提言は、業務独占という意図と、民間のデイサービスに関する差別意識を感じ取れるのですが、私の考え過ぎなのでしょうか?
有資格者が揃っているのと、健康状態の維持に関して実績出せるのかは、また別の話でございまして、全体のプログラムが有効に機能して結果を出しているデイサービスも多数存在。
「リハ」という名称の使用の問題も、本来の意味が広義であるだけに、使用権独占まで行くかどうかですが・・・「餃子の王将」と「大阪王将」程度の違いに思えますが、介護度改善に対してのインセンティヴに関しては賛成。さらに議論を深めてほしいものです。